リーガルダンジョン感想

Nintendo Switch版のリーガルダンジョンをクリアしました。

思っていたよりシナリオが重たいゲームで、MPをすり減らしつつも真相が知りたくて必死でプレイしました。

以下、かなり自分勝手な乱雑感想です。色々間違ってるかもしれません。
ストーリーのネタバレがあるのでご注意ください。





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<清崎蒼が歪められていく話>
蒼は最初の段階では(プレイし始めた私たちと同じように)普通に正義感を持った人だったと思う。
序盤で山田老人を不起訴にすると、蒼は失踪した真理を探しに行き署内BBSにクソ長ぇ批判を書き込み、さらには「嫌になった」といって休職願いを出すエンディングになる。とても真っ当な反応だ。
最後の真相だけを見れば、蒼は鬼畜の所業をなしたイカレた奴だが、最初(というかたった数ヶ月前)はものすごく普通の人間だった。
そのせいで、このゲームは警察の成績評価制度の中で蒼が歪んでいくストーリーだと感じた。

・あおいの声は、警察の成果評価制度という基準での「正解」を知っている蒼自身の声。
最後にあおいの声が「CISにログインしなくても聞こえるようになった」というのは、蒼の思考が成果評価制度の価値観に染まってしまったということだと思う。あおいはやたらと点数を上げるようそそのかしてくるし、「蒼」と「あおい」で名前がほぼ同じだし。
被疑者とのバトルも実際に尋問してるのではなく蒼の頭の中でやってる想定問答なので、書類を作るパートは蒼の思考をゲーム化したものなんじゃないかと思う。



<原田哲男 55才 巡査部長>
原田のおっちゃんは、あまりに生々しすぎる。
なんというか、今の自分にはこの人を語る力は無いような気がする。抑圧されとても複雑な心情を持つ人に思えて、いつかもっと時間が経ってから考えたい人だと思った。



かつて野球部で自分の痛みが分からなかったという話。これは刑事をやってる今も同じ状況ということだと思う。
点数で評価を決められるシステムに自分を踏み潰され、それでもなんとかそこで過ごしてきた結果、上から命令されないと何が正しいか自分で考えられない。



「善悪の判断なんざ、そこで終わってるんだ」
このセリフがとても心に残った。
おっちゃんの諦めでもあり現実でもあるかもしれない。でもその歯車となれば「善を成そうとする者」ではあるだろうという確信か、願望がある。あるいは自己正当化かも。
原田のおっちゃんはもっと年を食ってから考えたい。



鈴木課長も良い味だしてるんだよなあ、翻訳の力かもしれないけど。




<山本孝之おじいちゃん>
・蒼が山本のじいちゃんをエサ役として雇ったことは、(特殊)窃盗で起訴してしまったことへの償いの気持ちがきっとあったと思ってる(そんなほのめかしはないです)
お金が必要な貧しい老人に報酬を出す機会だと多少なり思っていたはず。まさかあんな事態になるなんて誰も予想してなかったんだし。
このことがエンディング13の&ビラの蒼の涙にもつながってると勝手に思ってる。

・山本のじいちゃんは西尾瑠奈に金を盗られた時、何を思ったか
西尾がじいちゃんから財布を取って目が合った時の話。「目を見たら、わたし、なんだか凄く怖くなっちゃって、それで……」という言葉が気になった。
もちろん、蒼はじいちゃんに介抱泥棒のエサ役だなんて説明はしてないだろうから、財布を取られた時に驚いて抵抗してもおかしくないはずだ。じいちゃんが持っていたのは報酬の1万円だけで、盗まれたらエサ役を引き受けた意味がなくなるしビラの代金も払えなくなってしまう。だけど抵抗せず、そのじいちゃんの目を見た西尾は怖くなってとっさにじいちゃんを刺してしまう。孫思いのじいちゃんは西尾を見て(孫よりは年上だけど)若い女性が自分の金を盗もうとした時どう思っただろう…

・ホームレスが虐げられるリーガルダンジョン
市役所のホームレス遺棄事件では、被疑者の古家一博は過去にもホームレスに暴行したことがあり、この事件でも被害者の林吾郎に暴行したと思われる。
そして山本のじいちゃんは、鳥居祐一に通報され公衆の前でののしられ、警察には点数欲しさに起訴され、さらに孫を探したいという理由で警察の囮役を引き受けたら若い娘にお金を盗まれ、挙句殺され、さらに蒼に遺体を壊され利用される。年老いたホームレスが被害者になる事件が多いのは、法執行に関わる仕事をしているという製作者の方が伝えたいことの一つだと思う。



<個人的なプレイ感想アレコレ>

・自力クリアできなかった…
3章 傷害致死で起訴
5章 西尾瑠奈の起訴
7章 鳥居祐一の第二の殺人の手がかりの盾
の三つがどうしても分からなくて、ネットでヒントを見て解きました。
がんばれば自力でいけたかもと思うけど難しい…!

・一度エンディングまで突っ走ったあと、最初の章からやったら山本のおじいちゃんを通報して二人をののしっていたのが鳥居祐一だとわかって「ああーーー!!」ってなった。めっちゃイキってる。

・最後の変死体発見者が小太刀だったの、なんなの?
このせいで最初クリアした時は、小太刀がドラム缶の変死体に絡んでて全体の黒幕なのかと思ってました(普通に違った)

・精神をゴリゴリ削られるゲーム
点数稼ぎのために弱者を起訴したり、どう見ても悪人な奴を不起訴にしたり蒼ちゃんがイカレたりと、胸クソ悪いことしかなくて胃が痛いわ本当に気分が悪くなるわでプレイしてる間しんどかった。
真相がわかってしまった時は思わず顔を手で覆ったよ……

・でもおもしろかった!
書類を読み込む謎解きがおもしろかった。これは人によって好き嫌い別れそうだけど私は結構好きだった。そしてカギを手に入れて徐々にわかってくる事件の内容が気になって、しんどくても必死にプレイしてしまった。
事件が凄惨というより警察側が無惨な状態になっていたという結末が新鮮(?)に感じた。

・シナリオやキャラの重みが凄い。
製作者の方は実際に法を執行する職業の方らしい。原田のおっちゃんの重みは実際の経験から来ているんだろう。蒼が歪んでしまったことや原田達が点数を上げることばかり考えているのはきっと他人事じゃなくて、ここまで深刻ではなくても小さいレベルなら身近に散々あると思う。良いか悪いかわからないけど、原田のおっちゃんのことを心に留めておきたいと思いました。



・プチデポットのことりさんが書いたイラストが素敵!
ことりさんのTwitterにどれが誰なのか書いてあったのだが、大体みんなわかるとして左から3番目が川口、一番右が白澤さんなのにびっくりしたw
川口そんな渋いんか…白澤さんはエンディング13で良いキャラしてたのでちょっとわかるかも。
ことりさんのTwitterには他のイラストもあって、やっぱり原田のおっちゃんの光の無い目がいいなあと思う(笑) 小太刀も憎たらしい感じが出てて良い!w