狩猟王日誌 其ノ伍
もう覚えている者もおらぬだろうが,かつて私はある宣言をした.
そう,"燼滅刃全制覇" だ.
それは私にとっては途方もない目標で,できなくたって仕方ないと思えてしまう程の夢だった.
なぜなら,同時に2頭のモンスターを相手にするなんて,とてもじゃないが正直無理だと感じていたからだ.
いつからか挑戦すべきクエストから目を背け,格下クエストをこなし小さな達成感の積み重ねで満足しているようになった.
しかしそんなある日,道具BOXの中を整理していたら,……ある物を見つけた.
それはギラギラと燃え光る燼滅刃装備一式だ.
そうだ……かつて私たちは確かに,当時最強と謳われた燼滅刃と正面から刃を交わし,粉塵の代わりに彼のナミダを拾っては私たちも涙を流した___
その死闘を越えて生き残ったのは彼らではなく私たち
この燼滅刃装備はその証だった……
かつて倒してきた燼滅刃たちのために,今の私は何をしているというのか?
そう気付いた時,もう私の心に迷いはなかった。
<狩猟王日誌 其ノ伍>
〜燼滅刃ディノバルド討伐・完結編〜
そんな訳で,燼滅刃Mu・Sya修行に私は明け暮れた.
1乙したらクエスト失敗となるG4クエストは緊張感があり,とても良い修行の地であった.
はじめのうちは返り討ちに遭うことも少なくなかったが,今度はくじけなかった.
Mu・Sya修行の一環として,私は捕獲を禁止とした.
燼滅刃はすべからく打ち倒す……!
その強い意志が必要だからだ.
かつて私は彼らと戦い,血の光線が飛ぶ戦場で,確かに私は生の愉悦に満たされていた.
G4の彼らはその快楽を再び呼び起こしてくれた.
かつての強敵(とも)が私の血肉となり,ともに戦ってくれる
私はソロであっても独りではない……
無数に屠ってきた燼滅刃はすでに私の血肉となり,愉悦に息を荒げているのだ.
私は貴様らを喰い尽くし,
ドン★
ドン★
ドン★
こうして燼滅刃G4・連続10頭斬りMu・Sya修行を成し遂げた.
ルメアージに真なる王の心を芽生えさせたのは,倒れていった燼滅刃自身であった……
燼滅刃に教えてもらったこの意志,決して無駄にはせぬぞ……!
いざ,G5クエストへ参る……ッッ!!
___果たしてルメアージは真の王になることができるのか!?___
ついに……
ついに……私は……やったぞ……ォォォオオオオ……ッッッ!!!
ここで私の多頭クエ必勝法を教えよう.
2頭目が乱入してすでに発見されている場合,まずはそこでけむり玉を撒く.
その上でモドリ玉を使い,ベースキャンプで1分程待つのだ.
そして溶岩島に降りると,けむり玉が撒かれているので2匹ともに見つからない.
先に倒したい方とだけ遭遇して,けむり玉を撒きながら戦うのだ.
(2頭目が乱入して即発見されて絶望したが,我ながらヒネりのないこの作戦でなんとかなった.もっとスマートな方法があったらそっと教えてくれてもいいんだぞ!)
3頭目の燼滅刃を倒すのは時間との戦いだった.
残り時間4分を切ったところで討伐できて,本当にギリギリだった.
だが同時に,何にも代えられぬ血肉踊る愉悦の時であった………
これでついに私は,真の王となっ……… ん??
いやいやいや.まだあるのかよ!!?
追加で超特殊許可クエストをマスターに依頼されてしまった.
HR100以上のハンターさん限定なので,おそらくステータス強化個体なのだろう.
だがな………
真の王の前に立ち塞ぐものなどないわ!
どんな強化燼滅刃だろうと,たった1頭のタイマンクエストでこの私を破れると思うなよ……!
さすがにここまでやらせといてニャメんなよ!初見でのしてやったわ!
こうしてルメアージは宿願を果たし,真の王となって帰還した.
さらに燼滅刃装備の最高強化も完了!
まあ正直,今となっては使い勝手が決して良いとは言えない装備だが,真の王の証として受け取っておこう.
しかし私は,ここに至ってもいまだ己の未熟さを痛感している……
被弾無しでの討伐をできる予感がしつついまだ成し遂げていないからだ.
挑戦を人は笑うかもしれない.
だが武への欲とは己でも測れぬ深淵を持つのだ.
それができたなら,我が盾斧を捨てて他の武器を手にすることさえ厭わぬ!
そう,たとえMHWで重弩に持ち替えることになろうと……
ルメアージの修行はこれからも続く……
完